ナツフブキ
ナツフブキ C)じゃがいも品種詳説
ナツフブキは、白く美しい肉色を持つジャガイモ品種です。
同じでん粉原料用品種であるコナフブキと似ていますが、ナツフブキには
どのような特徴があるのでしょうか。
[ナツフブキ]
・登録年 2003年
・登録番号 ばれいしょ農林47号
・作型 春作
・主な産地 北海道
・特性 煮崩れしやすいやや粉質
・栽培難易度 中級
■ナツフブキの特徴
・でん粉原料用品種
ジャガイモには、スーパーで食用として販売されているもの以外に、
デンプンの原料として栽培されているものもあります。
ナツフブキはそのでん粉原料用品種の1つです。
でん粉原料用品種として、多く栽培されている品種に「コナフブキ」というものがあります。
原料用として成績が良いコナフブキですが、センチュウに対しての抵抗性がなかったため、
センチュウへの抵抗性を持った原料用品種が必要とされていました。
そんな時、改良して作られたのが、ナツフブキです。
センチュウに対して抵抗性を持っているだけでなく、
コナフブキと遜色のないデンプンができるとして、
栽培面積が一度は広がりましたが、現在では減少傾向にあるようです。
ナツフブキの花
・夏収獲できる白色ジャガイモ
ナツフブキの名前の由来は、収獲時期と肉色からです。
北海道で栽培されることが前提だったナツフブキは、早生タイプの品種のため、
イモの肥大が早く、収獲も夏にできるということで、ナツという言葉がつきました。
さらに、コナフブキと同じく、真っ白できめ細かい肉質を持っていることから、
雪を連想してフブキという言葉が選ばれ、
この2つの言葉をつなげてナツフブキという名前がつけられました。
イモの形は球形~やや卵形をしていて、少し扁平になることもあるようです。
・早生で多収穫?
ナツフブキは、コナフブキに比べてセンチュウへの抵抗性があると同時に、
早生で収獲が早くでき、しかも収量が多いということで、原料品種としては有望株でした。
ところが、実際に栽培してみると、思っていたほども収量が出ないことがありました。
さらにモザイクウィルスや粉状そうか病への抵抗性がないため、
最初は作付面積が増える傾向だったものの、収量が思うようにいかないという理由で、
作付面積が少なくなっていきました。
ナツフブキの畑
■ナツフブキの栽培のポイント
・茎の倒伏に注意
ナツフブキは、やや開帳性の株姿で、しかも茎の長さが長めです。
茎の本数自体はそれほど多くないことも手伝って、倒伏しやすい品種といえます。
倒伏しないよう、紐や支柱を使って囲いを作っておくと安心です。
・褐色心腐が発生しやすい
ナツフブキは、コナフブキと同じく白い肉質が特徴ですが、
褐色心腐の症状がコナフブキよりも出やすい性質があります。
褐色心腐は、イモの表面上には特に症状が出ず、
切ってみると中心が茶色くなっていることが分かります。
表面上に症状が出ないため、切ってからしか判断できません。
大イモに育てると出やすくなるので、適切な時期に収穫をするのがポイントです。
・グラデーションカラーの花
ナツフブキの花は、赤紫系の色をしています。
最初は赤紫色をしていますが、徐々に退色して白っぽい色になっていくので、
咲き進むとグラデーションがかかったようになっていきます。
花もあまり大きくなく、花数も多くありませんが、
色の移り変わりが美しく、観賞価値があります。
花粉はそれなりに出るものの、着果することはあまりないので、
花後の楽しみが少ないのが残念です。
■ナツフブキのオススメの食べ方
でん粉原料用品種のため、食用として生で出回ることはほとんどありません。
機会があれば、色々と試してみると面白いでしょう。
それでも、まずはシンプルなジャガバターなどがお勧めです。
■参考
・ジャガイモ 地植えの栽培
・ジャガイモ プランターの栽培
・ジャガイモ 芽かき方法
・ジャガイモ 土寄せ方法
・ジャガイモ タネイモ販売
・ジャガイモ タネイモの選び方