シマバラ
シマバラは、春と秋の2回栽培できるジャガイモ品種です。
現在はほとんど栽培されていないというシマバラには、
どのような特徴があるのでしょうか。
また、栽培のポイントや相性の良い調理法なども、合わせてご紹介します。
[シマバラ]
・登録年 1960年
・登録番号 ばれいしょ農林11号
・作型 春作、秋作
・主な産地 九州各地、関西以西
・特性 煮崩れしにくいやや粘質
・栽培難易度 中級
■シマバラの特徴
・島原半島にちなんだ品種名
シマバラは、日本でも知名度の高い「農林1号」を母に、
「Gineke」を父として交配された品種です。
交配後、選抜試験を行った後、試験場を長崎県に移し、試験栽培が続けられました。
1960年に農林11号として登録されましたが、育成地である島原半島にちなんで、
シマバラという品種名がつけられたそうです。
登録当初は、春と秋を合わせてそれなりに作付されたようですが、
徐々に作付面積が減って、現在ではほとんど栽培されていないそうです。
そのため、スーパーなどで販売されることはほとんどありません。
・作型によって変わる形
シマバラは、やや小ぶりで、形・収量ともにデジマと似ています。
形はやや楕円形をしているのが特徴で、
表皮は淡い黄色で肉色は黄色味を帯びた白色です。
シマバラは休眠期間が短い品種のため、春作と秋作の2回栽培することができます。
ただ、収量や形の揃いなどは春作の方が成績良好で、
秋作では上イモ数が春よりも少ない傾向にある上に、
形も扁円になりやすいという性質があります。
試験栽培されていた場所が長崎県で、二期作が可能ということで、
主に九州や関西などの暖地で栽培されていたようですが、
栽培するなら秋よりも春の方がお勧めです。
・煮崩れしにくく甘みがある
シマバラはデジマに似た性質をいくつか持っていますが、
デジマと違って粘質タイプのジャガイモです。
火を通した時のほくほくとした食感は少ないですが、
煮崩れしにくいので煮物に向いています。
ただ、完全な粘質というよりは、粘質寄りくらいの肉質なので、
幅広い料理に使うことができるのも、シマバラのポイントです。
特に春作で収穫したイモは、甘みを感じられることもあるので、
シンプルな料理にも使えます。
■シマバラの栽培のポイント
・休眠が短く二期作が可能
シマバラは休眠が非常に短く、暖地では春作と秋作の二期作が可能です。
萌芽のタイミングも早い上に揃いやすく、
芽だし作業をせずに植え付けを行っても、発芽が揃いやすいのが特徴です。
休眠期間が短いとはいえ、やはり芽が出ないと困るという場合は、
催芽処理を行ってから植え付けると良いでしょう。
・全体的に小型
シマバラはイモがやや小ぶりなのと同じように、株全体も少し小柄です。
茎自体はやや横に広がるものの、葉の大きさも枝の長さも少し小さいです。
栽培後半での倒伏はあまり心配しなくても良いですが、
不安な場合は、支柱や紐を使って誘引しておくのがお勧めです。
栽培しているエリアを囲って、倒れにくくするだけでも効果があります。
・葉巻病に強い
シマバラは葉巻病に強いという性質を持っています。
葉巻病はアブラムシなどの害虫によって感染することも多いですが、
シマバラはアブラムシの接種による感染が少ないため、
葉巻病への強さは国内でもトップレベルです。
他にも、疫病や青枯病、そうか病、軟腐病にも強く、体湿性や耐暑性もあります。
ただ、ウィルス病やセンチュウには弱い面もあるので、土作りの際は注意します。
・暖地ではなかなか見られない花
シマバラは、白色で美しい花を咲かせます。
ただ、暖かい場所では開花が難しいのか、栽培中に蕾は上がっても、
そのままぽろりと落ちてしまい、花が咲かないことがよくあります。
特に暖地では、普通に栽培している場合、
蕾が発生しても咲かずにそのまま落ち、花を咲かせることはほとんどありません。
秋作はシチュー、カレー、肉じゃがにお勧め
■シマバラのオススメの食べ方
シマバラは煮崩れしにくい、やや粘質の肉質です。
粉質のものよりも煮崩れしにくいですが、粘質のものに比べると、
煮込んでいるうちに煮崩れることもあります。
食味は意外と良いですし、肉質としても使い勝手が良いので、色々な料理に使えます。
特に春作は甘みを感じられるので、ポテトサラダや蒸しイモ、フライドポテトなど、
シンプルな料理に向いています。
秋作はイモが小さく、甘みも薄くなるので、シチューやカレー、肉じゃがなど、
濃い味付けの料理に使うのがお勧めです。
■参考
・ジャガイモ 地植えの栽培
・ジャガイモ プランターの栽培
・ジャガイモ 芽かき方法
・ジャガイモ 土寄せ方法
・ジャガイモ タネイモ販売
・ジャガイモ タネイモの選び方