アローワ
アローワは、フランスからやってきたジャガイモ品種です。
日本人にも親しみやすい見た目と食味のアローワが持っている特徴と、
栽培のポイントもご紹介します。
[アローワ]
・登録年 2009年
・登録番号 アローワ
・作型 春作、秋作
・主な産地 九州各地、関西以西
・特性 煮崩れしにくいやや粘質
・栽培難易度 中級
■アローワの特徴
・楕円形でつるりとした見た目
アローワは1個のイモの大きさが大きめですが、
形が短い楕円形をしているので、一般的なジャガイモのゴロゴロ、
ゴツゴツとしたイメージとは違っています。
しかも目がとても浅く、表面がつるりとしていて、
皮の色も淡い黄色で美しいです。
皮を剥いた中身の肉色も淡い黄色で、奇抜な色をしておらず好感がもてます。
海外で改良された品種と聞くと、日本人には向かないと思われることもありますが、
アローワは見た目が美しく、親しみやすいのが魅力です。
目が浅いことで皮を剥きやすいので、
ジャガイモの皮むきが苦手という方にもお勧めです。
・あっさりとして使い勝手が良い
アローワはデンプン価がやや低く、風味としてはややあっさりとしています。
粉質か粘質かでいうと、ちょうど中間くらいの食味ですが、
どちらかというと粘質寄りなので、煮込み料理に使っても煮崩れにくいです。
しっとりとした粘質の食感の中にも、ホクホクとした食感も感じられるため、
オールマイティーな使い方ができます。
味の主張が強くないので、蒸しイモ、炒め物、煮物、揚げ物、
色々な料理に使って楽しんでみてほしいです。
・貯蔵中は発芽に注意
アローワは休眠が短めの品種です。
そのため、収穫後は低温に置いておかないと、
休眠が破られてすぐに芽が出てしまいます。
特に春作では、収穫後に気温が高くなりやすいので、
風通しが良く涼しい場所に置いておくようにします。
できれば冷蔵保存をしておくと、安心です。
■アローワの栽培のポイント
・二期作が可能
アローワは休眠が短いため、二期作が可能です。
早生タイプで上イモの生長も早いのですが、
二期作をするなら、暖地の方が良いでしょう。
タネイモを購入した後、催芽処理をしなくても、
すぐに休眠がとけることが多いですが、
心配な場合は催芽処理をしてから植え付けましょう。
1個あたりのイモが大きいので、
タネイモを切らずに植える秋作では、
土中でタネイモが腐ってしまわないよう、
気温が高いうちは植え付けを避けると良いでしょう。
・塊茎が少ないので密植栽培に
アローワは1個のイモが大きく、全体重量としては多くなりますが、
1株につくイモの数は少なめです。
その分、栽培スペースを省スペースにすることができます。
極端な密植栽培はお勧めできませんが、
やや密植気味にしてたくさんの株数を栽培すれば、
それだけでまた収量がアップします。
・ジャガイモシストセンチュウへの抵抗性
アローワは、ジャガイモシストセンチュウへの抵抗性を持った品種です。
そのため、ある程度であれば、爆発的な被害が出ることがなく栽培可能です。
ただ、過去にジャガイモシストセンチュウの被害が大きく出た場所で栽培する場合は、
土壌消毒などを行い、できるだけセンチュウの量を減らしておきます。
抵抗性を持っているからといって、100%被害を防げるものではないので、
できる限りの予防はしておきましょう。
・土の排水は良くする
アローワは休眠が短いという性質のため、二次生長を起こすことがあります。
特に水はけが悪く、湿った状態が続きやすい土で起こしやすいので、
栽培地の水はけは良くしておきます。
二次生長が起こると、収穫した時に新しいイモから芽が出てしまったり、
小さなイモがくっついたようないびつな形になったりします。
・花は紫~青
アローワの花は、ごく淡い紫色~青色をしています。
多花性ではありませんが、栽培中に開花している姿を見ることができれば、
その美しさに見惚れるはずです。
■アローワのオススメの食べ方
アローワは粉質と粘質の中間で、やや粘質寄りの肉質をしています。
粘質のジャガイモというと、煮込んでも煮崩れしにくいということで、
おでんやシチュー、カレー、肉じゃがなどに使われることが多いですが、
アローワはそれに限りません。
蒸しただけのアローワを食べてみると、
しっとりとした中にほくほくとした食感も感じられます。
蒸してバターや醤油、ソース、塩などをかけて食べるだけでもおいしいです。
アローワコロッケは、人気で一瞬にして食べつくされます
粘質タイプのジャガイモは、
コロッケやポテトサラダに向いていないと言われることが多いですが、
アローワは粉質とは違った食味を体験できます。
コロッケにすれば、ややしっとりとしていて柔らかい食感で食べやすくなります。
ポテトサラダも、半分ほど潰した状態でサラダにすれば、
口に入れた時の食べ応えがあり、
しかも噛むうちにとろけるような極上の食感も楽しめます。
カレーにも味わいが出ておいしいです
アローワ自体がそれほど主張の強い味を持っていないため、
シチューやカレーなどのしっかりとした味付けの料理もオススメです。
煮込み料理は煮崩れしにくいだけでなく、
作った翌日もイモが硬くなりにくいので、最後までおいしく食べることができます。
■参考
・ジャガイモ 地植えの栽培
・ジャガイモ プランターの栽培
・ジャガイモ 芽かき方法
・ジャガイモ 土寄せ方法
・ジャガイモ タネイモ販売
・ジャガイモ タネイモの選び方