紅丸
紅丸
紅丸は、昔から育てられてきた品種です。
スーパーで見かけることはほとんどない品種です。
紅丸の特徴と栽培のポイント、食べ方などをご紹介しましょう。
[紅丸]
・登録年 1971年
・登録番号 ばれいしょ北海道第3号
・作型 春作、秋作
・主な産地 関西以西
・特性 煮崩れせず粘質
・栽培難易度 中級
■紅丸の特徴
・古い品種
紅丸は、レムブケ・フルーエ・ローゼンとペポーという品種を、
かけ合わせてできた品種です。
登録されたのは1971年頃ですが、交配自体は1929年ととても古いです。
当時は収量が多く育てやすかった紅丸は、相当量の生産があったようですが、
現在ではあまり栽培されず、幻のジャガイモと呼ばれることもあるほどです。
現在は、どちらかというと、調理して食べる通常のジャガイモというよりは、
澱粉原料用として栽培されているようです。
・赤い表皮
紅丸は、形がころころとして丸っぽい形をしていて、
しかも表皮にはうっすらと紅色が入るため、紅丸という名前がつけられました。
赤色が入るのは表皮のみで、肉食は白です。
稀に肉食に赤が混じることがありますが、緑化などの変色ではないので、
食用にする時には、特に問題はありません。
澱粉原料用として栽培されていますが、目が浅く皮を剥くのが難しくなく、
調理しやすいのも魅力の1つです。
・秘密のジャガイモ
現在はデンプン原料用として栽培されていることが多い紅丸ですが、
通常の料理に使うのにもお勧めの品種です。
目が浅く肉食が白い点もそうですが、何より食味が非常に良いのです。
カレーや肉じゃがなどの煮物やシチューに入れても煮崩れしにくく、
かつホクホクとした食感とねっとりとした食感の両方を併せ持っています。
煮ても焼いても揚げてもおいしいジャガイモです。
■紅丸の栽培のポイント
・やや大型で生育スピードが早い
紅丸は植え付け後の萌芽スピードがやや速く、その後の生育も早めです。
茎が少し長めで、全体的に大型に育つのが特徴です。
基本的には茎が丈夫なので、倒伏する心配はほとんどありませんが、
窒素が多めだと茎が長くなりすぎてしまい、
倒伏する可能性が高くなるので、注意してください。
心配な時は、支柱を立てて紐で周りを囲い、倒伏しないようにすると安心です。
・やや晩生タイプ
紅丸は、栽培前半の生育が良いので、早生タイプに思われることが多いですが、
実は中晩生タイプです。
ジャガイモは収穫時期が近くなると地上部が黄変して枯れてきますが、
紅丸はこの黄変や枯れてくるタイミングが少し遅めです。
そのため、途中の生育スピードから考えると、やや遅めの収穫となるのです。
・芽だしをする
紅丸は、休眠期間が中程度で、場合によっては春と秋の2回の栽培が可能です。
ただ、休眠期間が短い品種に比べると、芽が出る確率が低くなってしまうので、
秋に育てたい場合は、芽だしを行うのがお勧めです。
あるいは、春作で収穫し、貯蔵しておいたものの中から、
芽が出てしまったものを選んでタネイモにするのも良いでしょう。
・育てやすいが病気には強くない
古い品種であるためか、収量が多く育てやすい性質を持っているものの、
そうか病や粉状そうか病には弱いところがあります。
塊茎腐敗には、比較的強いようです。
・収穫後の貯蔵がポイント
紅丸は、収穫後の貯蔵でかなり味が変わる品種です。
ジャガイモはどれも同じように見えますが、実は貯蔵の仕方によって、
味がかなり変わる場合があるのです。
凍らない程度の低温で寝かせることで、
中に含まれている澱粉が糖となり、甘みに変わります。
紅丸の場合は、この貯蔵後の味の変化が顕著で、甘みと旨みが凝縮され、
しかも食感まで良くなるという素晴らしい品種です。
収獲したての新ジャガイモもおいしいですが、
紅丸の場合は、ぜひ貯蔵してから食べてみてください。
■紅丸のオススメの食べ方
紅丸は澱粉原料用として栽培されていますが、
料理に使えば、おいしいジャガイモとして堪能することができます。
男爵ほどの粉質ではありませんが、メークインほどの粘質でもありません。
両方の良いとこどりをしたような肉質をしているので、
ベイクドポテトやジャガバターのように、丸ごと蒸したり焼くのも美味で、
シチューなどの煮込みにも使えます。
和風でも洋風でも、どのような味付けにも合うので、様々な料理が楽しめそうです。
■参考
・ジャガイモ 地植えの栽培
・ジャガイモ プランターの栽培
・ジャガイモ 芽かき方法
・ジャガイモ 土寄せ方法
・ジャガイモ タネイモ販売
・ジャガイモ タネイモの選び方