アーリーローズ
アーリーローズ
アーリーローズは、昔はたくさん日本で栽培されていた品種です。
現在はほとんど栽培されていないため、イモとしての流通はほとんど見られません。
そんなアーリーローズの特徴をご紹介します。
[アーリーローズ]
・登録年 1905年
・登録番号 Early Rose
・作型 春作
・主な産地 北海道
・特性 煮崩れしやすい粉質
・栽培難易度 中級
■アーリーローズの特徴
・古くに栽培されていた品種
アーリーローズが日本にやってきたのは、明治時代初期でした。
それから品種試験を続けた結果、明治38年に優良品種として登録され、
栽培が広がっていきました。
当初はデンプン加工用として、また青果用として栽培され、
大正時代では最も作付面積の多い品種として、一世を風靡しました。
ところが、病気に弱い点や粒揃いの悪さから、
男爵にその地位をとってかわられ、作付面積は徐々に減っていきました。
基本的には北海道で栽培されていたアーリーローズですが、
北海道での栽培が終わった後、岡山で少し栽培が続けられていたようです。
その時は、アーリーローズの名ではなく「薄赤」という名で流通していたそうです。
・重宝されそうな見た目と肉質
アーリーローズは、形が長い楕円形をしていて、少々扁平になっているのが特徴的です。
形だけで見ると、メークインによく似ていますが、
メークインよりもコブのようなものが出やすい性質であることと、扁平な点が異なります。
コブのようなものが出やすいため、つるりとしたメークインに比べると、
少々扱いが面倒と感じることもありますが、目が浅いので皮むきはしやすそうです。
メークインに似ていても、肉質は男爵寄りで、粉質です。
デンプン価が高く、食味が良い品種だったようです。
見た目も悪くなく、食味も良い品種ではあるものの、やはり粒揃いの悪さが目立ちます。
昔の文献によると、基本のイモの重量は22匁(約82g)とありますが、
大きいものになると80匁(約300g)ほどにもなるというのです。
これでは基本のイモと比べ、何倍ものサイズ差が出てしまいます。
日本では大きさが揃っているものの方が好まれる傾向があります。
また、アーリーローズの名前の元となったであろう、皮の薄い赤色も、
当時の日本人には受けが悪かった可能性があります。
こういった理由からも、衰退したのかもしれません。
・貯蔵中の品質低下が少ない
ジャガイモといえば、たくさん栽培して貯蔵しておける野菜としても人気です。
アーリーローズは、貯蔵に向いた品種です。
貯蔵中の品質低下がほとんどなく、最後までおいしく食べられます。
■アーリーローズの栽培のポイント
・病気に弱い
アーリーローズは、各種の病害虫にあまり強くない性質です。
現在主流となっている品種のほとんどが、
病害虫に対して様々な抵抗性を持っているのに対し、
病害虫の被害が出やすいアーリーローズは、分が悪いです。
栽培する時は、細心の注意をはらって、土壌消毒や管理を行う必要があります。
・花は白色
アーリーローズは、表皮が薄い赤色をしているため、
花も赤色かと思われがちですが、そんなことはありません。
ジャガイモの花色は意外と幅が広く、イモの表皮や肉色と同じとも限りません。
アーリーローズの場合は、真っ白な純白の花が咲きます。
■アーリーローズのオススメの食べ方
アーリーローズは、男爵などと同じ粉質タイプのジャガイモです。
デンプン加工品に使われることもあったそうですが、食味の良さから、
一般家庭への青果としての流通もありました。
イモのサイズには大小あったでしょうが、皮を剥いてサイズを揃えて切れば、
煮あがる時間にばらつきも出ません。
表皮は薄い赤色ですが、肉色は白に近い色をしていたので、
ポテトサラダなどにしても見た目と味が良く仕上がります。
粉質であることを生かし、粉ふきいもやコロッケなどにするのもおいしそうです。
大きいサイズのイモは、皮つきなまま蒸かしたり茹でたりした後、
半分に切って中をくりぬき、詰め物をしてオーブンなどで焼いてもおいしいでしょう。
■参考
・ジャガイモ 地植えの栽培
・ジャガイモ プランターの栽培
・ジャガイモ 芽かき方法
・ジャガイモ 土寄せ方法
・ジャガイモ タネイモ販売
・ジャガイモ タネイモの選び方