ジャガイモ 地植えの栽培
■ジャガイモ 栽培暦
■植え付け ■発芽 ■収穫
■ジャガイモ 栽培データ
英名・学名 potate・solanum tuberosum L.
形態 多年草
原産地 南米アンデス山脈高地
草丈/樹高 60cm~70cm
収穫期 2月~12月(地域・作型による)
栽培難易度(1~5) 2
耐寒性 やや弱い
耐暑性 弱い
特性・用途 食用にできる、収穫の楽しみが大きい
ジャガイモはさまざまな料理に使え、常備すると便利な野菜です
自分でタネイモを植え付け、芽かきや土寄せをして栽培したジャガイモ。
その手間をかけた家庭菜園の、収穫したてのジャガイモは、
水分が多く口当たりなめらかで最高のおいしさです!
ジャガイモが、いちばん育てやすい春栽培をメインに、
ジャガイモの地植えでの栽培方法を、画像と図版でわかりやすくご紹介します。
[ジャガイモ 地植えの栽培]
■ジャガイモ 地植えの栽培
・タネイモの選び方
ジャガイモは他の野菜と違い、種や苗から育てるのではなく、
イモそのものをタネイモとして植え付け、育てます。
そのため、ジャガイモを育てるためには、
まずタネイモを準備しておく必要があります。
タネイモにも良いタネイモと悪いタネイモがあります。
できるだけ良い状態のタネイモを植え付けると、
生育期間中もトラブルが少なくなり、収穫量も期待できます。
タネイモ選びで、収穫の善し悪しの8割が決まるそうです!
◎良いタネイモのポイント
1. 皮にハリがありしわがない
2. 持ってみるとずっしり重みがある
3. 休眠から目覚めて複数の芽が出ている
4. 芽の出ている部分が分散している
5. 太くてしっかりした芽が出ている
6. 芽の色が濃緑~黒っぽい紫色をしている
7. ウィルス病などに感染していない健全なタネイモ
*品種など詳しい選び方は、
>>ジャガイモ タネイモの選び方
・植え場所(栽培環境)
ジャガイモは日当たりの良い場所を好みます。
日当たりの悪い場所で育てると、生育不良で、収穫量が激減することがあります。
また、ある程度は風通しを確保して、
アブラムシなどの害虫被害、病気感染を避けるようにします。
株間は、30cm、しっかりと空けるようにします。
密植しても収穫量が増えず、軟弱な株に育ちます。
ジャガイモは、ナス、トマト、ピーマンと同様、ナス科の野菜です。
前作にナス科を育てていた場所で栽培すると、連作障害が出やすくなります。
できるだけ毎回違う場所で育てるか、1年~2年あけて育てるようにします。
>>ジャガイモ 連作
・畑の準備
ジャガイモを地植えで育てる場合、まずは土を耕して土作りを行います。
まずは土を20cmほどの深さまで掘り、植物の古い根や大きな石など、
不要なものがあれば取り除き、土をほぐしておきます。
植え付け2週間前には、土をほぐしたところに、
1㎡あたり堆肥を500g、苦土石灰を50gまき、よく混ぜ込んでおきます。
ジャガイモはアルカリ性の土が苦手です。
苦土石灰を与えすぎると、土がアルカリ性に傾きやすくなるので注意します。
*詳しい用土については、
>>ジャガイモ 土
土作りが終わったら、次は畝をたてます。
畝は幅70cmくらいを基準にしてたてます。
高さは10cm~15cmで構いません。
マルチを利用するかどうかや、土質によって、最終的な畝の高さが変わります。
畝の表面は平らにならしておきます。
マルチ栽培をする場合、畝立て直後にマルチをかぶせるのではなく、
タネイモの植え付けを行ってからかぶせるのが良いです。
浴光育芽
浴光育芽すると、元気で硬い芽ができあがります
・タネイモの浴光育芽
タネイモの発芽を確実に元気にするために、
タネイモを5~20℃の気温で、20~30日、日光を浴びさせます。
シート、浅い段ボール箱、新聞紙などを下に敷きます。
浴光育芽期間に、イモの向きを3回くらい変えるとさらに良いです。
この作業をすると、元気で硬い濃い緑の芽を育てその後の生長が良くなります。
・タネイモの準備
植え付け前にタネイモの準備をします。
春ジャガイモの場合、タネイモの大きさによって、
タネイモを切って植え付けることができます。
タネイモは大きいほど収量が増える傾向にありますが、
60g以上になると、あまり収穫の差はみられなくなります。
そのため、タネイモを切り分ける際は、1片を40g~60gにそろえます。
タネイモの切り方のコツ
タネイモの芽は頭頂部に集中しています。
そのため、頭頂部を均等に割ることで、
それぞれの片の発芽量も均等にすることができます。
*秋ジャガイモでは、タネイモを切らず丸のまま使います。
タネイモを切った場合は、必ず切り口を2~3日乾かすか、
草木灰、イモ専用切り口処理剤をつけておきます。
ジョイアグリス 草木灰K.100 2kg 750円くらい
じゃがいもシリカ 500g 350円くらい
ジャガイモの畝つくりと植え付け
横から見た図ージャガイモの畝つくりと植え付け
・植え付け
春ジャガイモの植え付けは、2月中旬~3月上旬頃です。
畝の中央に、深さ5cmほどの溝を作ります。
その溝に、タネイモを30cm間隔で並べていきます。
株間が狭いと、収穫するイモが小さくなるので、
株間をきちんととるようにします。
株間が広すぎても良くないので、30cmにそろえるのが良いです。
また、タネイモとタネイモの間に、30gずつ化成肥料を置くようにします。
この時、タネイモに肥料が触れないようにしましょう。
タネイモの上に、厚さ5cm~7cmになるように土をかぶせます。
マルチング後、芽を出したところ
・マルチの植え付けと芽出し
マルチ栽培をする場合は、途中で土寄せができないので、
多めに、8cm~10cmほど土をかぶせるのがコツです。
マルチ栽培の場合は、タネイモを植え終わったら、マルチをかぶせます。
しばらくして芽がマルチを押し上げて見えてきたら、
芽が押し上げている部分のマルチをカッターなどで破り、
手でていねいに芽を外に出してあげます(芽出し)。
*秋ジャガイモの場合、植え付け時期は8月下旬~9月上旬です。
・支柱
基本的にジャガイモ栽培では支柱を必要としません。
土寄せをしっかりと行うことで、株元が安定して茎が倒れることは稀です。
ただ、多少の日照不足などより、茎が徒長し倒れる場合があります。
その場合は、支柱を立てて茎を支えてあげるようにしますが、
土中のイモを傷つけないよう気をつけて支柱を立てるようにします。
・水やり
ジャガイモは過湿を嫌います。
土が乾いたなと感じたら、水を与えるようにしましょう。
地植えでは、基本的に水やりはほとんど必要ありません。
芽かきのしかた、茎が10㎝くらいで行います
・芽かき
タネイモには複数の芽がついていることが多いので、
1か所から何本も芽が伸びてきます。
10㎝くらい伸びた複数の芽の中で、
生育の良いものは2本~3本残して、あとは芽かきを行います。
芽かきを行って芽を減らすことで、栄養が分散するのを防ぎます。
芽かきは、タネイモが抜けないように、残す芽の株元を片手でおさえて、
もう一方の手で不要な芽を引き抜きます。
*取り除いた芽は、20cm間隔で用土に植えるとイモができます。
土寄せの方法
・土寄せ
ジャガイモ栽培では、土寄せがとても重要なポイントとなります。
タイミングとしては、芽かきや追肥を行う時と一緒に、
土寄せを行いますが、必要と感じたら、その都度行っても構いません。
土寄せをしっかりとしておくことで、イモが緑化するのを防ぎ、
大きく美味しく育つスペースを作ることができます。」
・追肥
ジャガイモ栽培での追肥は2回です。
1回目の追肥は、植え付けから1ヶ月ほど経ち、草丈が10cmくらいになった頃です。
1株あたり化成肥料を10g与えます。
2回目の追肥は、ジャガイモに蕾がついた頃です。
1回目と同じ要領で追肥を行います。
*マルチ栽培の場合は、降雨時の肥料分の流出が少ないので、
追肥は不要で、元肥だけでだいじょうぶです。
いよいよ収穫! 採り立てのジャガイモは最高です♪
・収穫
花が咲き終わった後、葉や茎が黄色く枯れてきたら、
いよいよ収穫のタイミングです。
マルチをしている場合は、まずはがします。
株元から15~20cm離れたあたりにスコップを垂直に差し込み、
手でていねいに掘り上げます。
イモが湿っていると傷みやすくなるので、
収穫する前後や当日は、晴れた日を狙います。
収穫後は、半日ほど天日干しをすることで、
表面を乾かして保存性を良くすることができます。
その後は、芽が出にくくなるように、
光の当たらない場所で貯蔵しておきましょう。
・病害虫
ジャガイモは、アブラムシやニジュウヤホシテントウ、
ヨトウムシに狙われることが多いので注意します。
特にアブラムシは、食害を受けるだけでなく、
ウィルス性の病気の媒介をすることもあるので要注意です。
■ジャガイモ 地植え 栽培の育て方のコツ
1.タネイモ選びで生育が決まります
2.植え付け適期を守りましょう
3.緑化防止と芋肥大のために土寄せを行います
*標準プランターでも直径8㎝以上のイモがこんなに栽培できます。
プランター栽培もご覧ください
■参考
・ジャガイモ 芽かき方法